全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス(ループス)とは、関節、腎臓、粘膜、血管壁に起こる慢性、炎症性の結合組織疾患です。
全身性エリテマトーデスはDNA−抗DNA抗体などの免疫複合体の組織沈着により起こる全身性炎症性病変を特徴とする自己免疫疾患です。 全身性エリテマトーデス(SLE)は全身の炎症によりさまざまな症状を示し、よくなったり、悪くなったりを繰り返し、慢性の経過をたどる病気で、発熱、全身倦怠感などの炎症を思わせる症状と、関節、皮膚、内臓などのさまざまな症状が一度に、あるいは次々に起こってきます。
全身性エリテマトーデスは自己免疫疾患のひとつで、膠原病(こうげんびょう)の代表的疾患で、自分の体の成分に対する抗体が作られますが、とくに細胞の核にあるDNAに対する抗体が特徴的で、それが免疫複合体を作って炎症を起こし組織を壊していきます。円板状エリテマトーデスはループスの1種で、皮膚のみに病変がみられます。隆起した円形の皮疹が生じ、うろこ状の角質上皮がはがれたり、ときに病変部の瘢痕(はんこん)化や脱毛を伴います。約10%の患者は全身性エリテマトーデスの症状を呈し、関節、腎臓、脳に影響が及びますが、いずれも一般に軽症です。
全身性エリテマトーデスの約90%は10代後半から30代までの若い女性ですが、小児(多くは女児)や高齢の男女にも発症します。この病気は世界各地でみられますが、黒人とアジア系の人に最も多く発症しています。
当院の全身性エリテマトーデスの治療目的は、全身性エリテマトーデス患者のできるかぎりの回復の機会を提供することと全身性エリテマトーデスの完全な回復までの時間を短縮することです。
全身性エリテマトーデスの治療は、西洋医学以外に東洋医学の治療も効果があります。当院長は全身性エリテマトーデスの期待に応えるため、25年間、全身性エリテマトーデスの治療、特に腎臓障害の治療に力を入れて、試行錯誤の末、独自の電気針治療法【皮膚透穴針を開発しました。そして良い成果を上げています。
治療によって、全身の症状が改善します。治癒した例、改善した例を合わせると患者の70%は経過がよいと考えられます。
全身性エリテマトーデスの症状が多様なため、当院の治療方法もそれに応じて、多岐に渡って行います。当院は中医学的な弁証論治の基本を元に、特殊な電気針治療法を組み合わせることで、最大限の効果を引き出します。そして全身性エリテマトーデスの治癒は患者さんの生活の質を向上させるのに役に立っています。
全身性エリテマトーデスの鍼灸治療症例 :全身性エリテマトーデス患者99名、【皮膚透穴針取穴:肩―肩井、肩貞,腕、指関節―陽溪、腕骨、合穀、液門,肘関節―曲池、天井,股関節―環跳、沖門、髀関,膝関節―膝眼、委中、足三里、陽陵泉,足首、足指関節―太沖、解溪、昆明、丘虚,頚椎関節―風池、風府、大椎,腰関節―腎兪、大腸兪、命門。お灸併用、神闕に間接灸9壮/1回。電気針、50分間。
全身性エリテマトーデスの鍼灸治療臨床経験 :当院では、多くの全身性エリテマトーデス患者の症状を回復、或いは改善してきました。今も多くの全身性エリテマトーデス患者が通っていらっしゃいます。 全身性エリテマトーデス患者の一人一人の症状に合わせて、当院はきめ細かく針灸治療行っています。針灸治療では、全身性エリテマトーデス患者の生活の質と予後は比較的良好です。大多数の全身性エリテマトーデス患者は普通の生活が可能になりました。
7年前、全身性エリテマトーデスを罹った江東区の70歳の林さん(女性)は、1年間病院に入院した後、ループス腹膜炎で、食事ができなくて、当院で、2ヶ月間鍼灸治療を受けた後、腹部の脹れが取れ、食事もでき、血液検査も正常に戻り、今年一月、道で林さんが孫さんを抱っこしている時にあい、林さんが「先生のお蔭で、大好きなお餅も食べています」と元気に話してくれました。
当院独自開発した【皮膚透穴針】:患部にある二つ離れている特殊なツポに一本の針を通し、微電流をかけますと、これらの刺激が生物電信号に変わり、神経の伝達を通じ皮膚組織を改善する仕組みです。
1.【皮膚透穴針】:特殊なツボにハリを打ちます
2.ハリに微弱電流を流します
3.皮膚動脈の血流量が増え、皮膚への血流供給が増え、皮膚に栄養が行き渡るようになります。
4.免疫調整を行い、DNA−抗DNA抗体などの免疫複合体の発生を抑えます。
5.善玉の免疫を活性化し皮膚の傷を修復します。
【エリテマトーデス治療の実際様子と流れ】
1.当院独自開発した【皮膚透穴針】治療法:
特殊なツボにハリをうちます。
2.ハリに微弱電流を流します。
3.痛みを感じない程度の治療が多いので、
寝ってしまうことがあります。
4.起きたら、治療完了です。
5.鍼灸治療が終わった後に生活注意事項を説明します。
全身性エリテマトーデスの誘因は紫外線(海水浴、日光浴、スキーなど)、風邪などのウイルス感染、怪我、外科手術、妊娠・出産、ある腫の薬剤などがあります。
全身性エリテマトーデスの場合、自分自身の体に対する免疫は、血液中の抗体を調べることによって、判断できます。全身性エリテマトーデス患者さんの95%以上が、血液中に、抗核抗体という抗体をもっています。自分自身の細胞のなかにある核と反応してしまう抗体です。この抗体が、自分の細胞の核と反応し、免疫複合体という物質を作って、全身の皮膚、関節、血管、腎臓などにたまって病気が引き起こされると考えられています。このほか、免疫を司るリンパ球も直接、自分の細胞、組織を攻撃すると考えられています。
全身性エリテマトーデスの一致率は一卵性双生児の場合、25%程度であることから、何らかの遺伝的素因を背景として、感染、性ホルモン、紫外線、薬物などの環境因子が加わって発症するものと推測されています。その結果、自己抗体、特に抗DNA抗体が過剰に産生され、抗原であるDNAと結合して免疫複合体を形成される結果、組織に沈着して補体系の活性化などを介して炎症が惹起されます。
全身性エリテマトーデスの臨床検査は診断に役立ちます。血液検査で抗核抗体が検出され、ほとんどすべての全身性エリテマトーデス患者にこの抗体が認められます。ただし、このような抗体は他の病気でも検出されます。このため、抗核抗体が検出された場合は2本鎖DNAに対する自己抗体も検査します。これらの抗体価がいずれも高ければ、ほぼ全身性エリテマトーデスであるとの診断がつきます。しかし、すべての患者がこれらの抗体をもっているわけではありません。その他の血液検査も行い、病気の活動性やその経過を予測します。また、血液検査で血液中にリン脂質抗体が検出されれば、血栓症のリスクがあることがわかります。また貧血、白血球数減少、血小板減少を特定するための血液検査もあります。 臨床検査では尿中にタンパク質や赤血球が認められ、血液中のクレアチニン濃度が上昇するなど、糸球体腎炎による腎障害を示す所見がみられます。以後の治療計画を立てるために、ときに腎生検が必要となります。
全身性エリテマトーデスの症状があって、特に若い女性では、その症状と注意深い診察所見から全身性エリテマトーデスを疑います。しかし、全身性エリテマトーデスの症状は多様なため、初期の段階では類似した他の病気との判別は困難です。全身性エリテマトーデスは通常アメリカリウマチ学会の診断基準に従って診断します。感度、特異度とも90%をこえるきわめて有用な診断基準であり、これによって全身性エリテマトーデスの臨床は大きく変化しました。全身性エリテマトーデスは特定疾患の申請においても本診断基準が採用されています。
全身性エリテマトーデスの軽度であれば、ほとんどの場合、治療は行いません。アスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用することで、関節痛を軽減することができます。全身性エリテマトーデスの患者の血液が凝固しやすい傾向をもっている場合は、低用量のアスピリンを使用します。アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬があまりにも高用量だと、肝臓や腎臓に障害を与えます。ヒドロキシクロロキン、クロロキン、キナクリンなどを併用すると、関節や皮膚の症状が軽減されることがあります。皮疹のある人は特に、日焼け止め(SPF30以上)を塗る必要があります。重症の場合は、ただちにプレドニゾロンなどのコルチコステロイド薬を使用します(コルチコステロイド薬の使用法と副作用を参照)。投与量と期間は、障害を受けた器官によって異なります。ときに、アザチオプリンやシクロホスファミドといった免疫抑制薬を使用して体の自己免疫による攻撃を抑制します。ミコフェノール酸モフェチルは、免疫抑制薬に代わる新しい薬剤です。ステロイド薬と免疫抑制薬との併用投与は、重度の腎疾患、神経疾患、血管炎の治療に最もよく使用されています。
副腎皮質ステロイド剤が、全身性エリテマトーデスの特効薬として知られています。この薬が知られていなかった、1950年代に比べ、全身性エリテマトーデスのコントロールは、飛躍的に進歩しました。この頃には、5年以上生き延びる人は50%程とされていましたが、現在では90%以上にまで改善しています。しかし、全身性エリテマトーデスの病型によって、ステロイド剤の効きやすいもの、効きにくいものがあります。免疫抑制剤が使われるようになって、全身性エリテマトーデスのコントロールはさらに良好になってきています。
しかし、長期に渡って、副腎皮質ステロイド剤を使いますと圧迫骨折、白内障、緑内障という副作用は出ます。免疫抑制剤の場合は血液障害、肝障害と腎障害が出ます。
全身性エリテマトーデスは臓器障害の広がり、重さによって、病気の重症度が異なります。関節炎や皮膚症状だけのひとは、薬剤によるコントロールもつけやすく、健康な方とほとんど変わらない、普通の生活が出来ることも珍しくありません。一方、腎臓、中枢神経、血管炎などでは、多種類の薬剤を、大量に、そかも長期にわたって使わなければならないことがあります。したがって、一口に全身性エリテマトーデスといっても、その病気の広がり、重症度によって、その後の経過は、全く異なります。しかし、そのコントロールは年々改善され、数十年もこの病気と付き合っている患者さんも増えてきました。そのため、高齢化に伴って起こってくる生活習慣病(動脈硬化、糖尿病、高血圧など)などに対する対策も必要です。
全身性エリテマトーデスは慢性化し、症状のない期間をはさみながら、数年にわたって再燃を繰り返します。閉経後の女性の再燃はあまりみられません。今では、早期の診断が可能となり、有効な治療法が確立されたために全身性エリテマトーデスの経過の見通し(予後)はこの20年で著しく改善されました。しかし、全身性エリテマトーデスの経過は予測できないため、経過の見通しは実にさまざまです。普通、初期の炎症がコントロールできれば、長期にわたる経過の見通しは良好です。腎臓障害の早期発見と早期治療で、重症な腎臓病の発症を防ぐことができます。
[ 症状、ご相談内容 ] :
昨年の3月にSLE(全身性エリテマトーデス)と診断されました。
漢方と西洋薬の併用で、入院加療が行える病院をどこかご存じないでしょうか?
宜しくお願い致します。
当院の返事:
最近、一人全身性エリテマトーデス患者が、当院で暫く鍼灸治療を受け、
皮膚の症状がかなり良くなりました。
患者様の返信:
3か月前より全身性エリテマトーデスの治療をしていただいております。
おかげさまで、左半身の皮膚症状は改善され、治療前よりかなり回復しています。
本当に有難うございました。
引き継ぎ宜しくお願いします。
[ 症状、ご相談内容 ] :
全身性エリテマトーデスの再燃により脊髄炎を起こし臍から下が麻痺したため自力排泄不能、両下肢麻痺になり約1年が経過しました
。現在車いすにて生活をしています。また感覚のある臍から上は痛みが強くリリカを服用していますが殆ど効果がありません。脊髄損傷とは
違いますが脊髄炎でも針治療で改善が出るのでしょうか。
[ 症状、ご相談内容 ] :