ライソゾーム病
ライソゾーム病とは、細胞内小器官であるライソゾーム酵素自体または活性化因子などの遺伝的欠損により、細胞内に様々な物質が蓄積し細胞障害を引き起こす疾患群です。
酵素にはたくさんの種類があり、それぞれが違う物質を作り、分解しています。細胞の中にあるライソゾームという小器官でも、たくさんの酵素が老廃物を分解するさまざまな働きをしています。そのライソゾームの中の酵素を生まれつき持っていなかったり、持っていても働きが弱いと、分解されるはずの物質がライソゾームの中に蓄積してしまい、その結果、病気になってしまいます。このような病気を総称してライソゾーム病と呼びます。ライソゾーム病のなかには、ゴーシェ病、ムコ多糖症、ファブリ病、ポンペ病、ムコリピドーシス、など様々な疾患があります。
欠損する酵素の種類によっていろいろな病気があり、症状も異なっています。現在、約30種のライソゾーム病が知られています。症状はそれぞれの病気で異なっていますが、共通点は、ライソゾームの中に分解されない老廃物が次第に蓄積していくということです。このことから、ライソゾーム病はすべて年齢とともに次第に病気が進行して悪化していく病気です。
当鍼灸院のライソゾーム病の治療目的は、ライソゾーム病患者にできるかぎりの回復の機会を提供することとライソゾーム病の完全な回復までの時間を短縮することです。
ライソゾーム病はなかなか治療方法がない現状の中、当針灸(鍼灸)院は二十数年前からライソゾーム病の針灸治療を取り組んできました。当鍼灸院は25年間、ライソゾーム病の治療に力を入れて、試行錯誤の末、独自の電気針治療法を開発しました。特殊な鍼と電気の併用で良い成果を上げています。多くのライソゾーム病患者さんの症状の回復が見られました。
当鍼灸院の治療はライソゾーム病の頑固さに応じて、多岐に渡って行います。当院は中医学的な弁証論治の基本を元に、特殊な電気針治療法を組み合わせることで、最大限の効果を引き出します。そしてライソゾーム病の症状の回復で、ライソゾーム病患者さんの生活の質を向上させるのに役に立っています。
ライソゾーム病は常染色体性劣性遺伝形式という遺伝形式で遺伝します。常染色体性劣性遺伝形式とは、「メンデルの遺伝の法則」でご存知のように、劣性の病気の遺伝子を持っている人(保因者)同士が結婚して、産まれる子どもの4人に1人が病気になります。保因者は、全く健康ですから誰が保因者であるかは検査をしないと分かりません。保因者の頻度は、これも病気によって異なりますが、ライソゾーム病の場合は一般的に150人から200人に1人くらいです。そして、同じ病気の保因者同士が結婚したときに初めて病気の子供が産まれる可能性が出てきます。一部のライソゾーム病は、「伴性劣性遺伝形式(X連鎖性劣性遺伝形式)」です。この場合には、保因者の女性が子どもを産んだとき、男の子の2人に1人に病気の子供が産まれます。
人体の細胞は、体の臓器を形作りそれぞれの役割を果たしています。細胞が正常な新陳代謝を営んでいるとき、人は健康な体を保つことができます。生きている細胞は、常に新しい物質を作り、体の成分としたりエネルギーとしたりしています。そして、古くなったものは分解して捨てています。この古いものを分解する場所が細胞の中にあるライソゾームというところです。したがって、ライソゾームの中には数多くの分解酵素が存在しています。この分解酵素の一つが先天的に欠損しているために分解されない老廃物が次第に蓄積していき、病気が起こります。
ライソゾーム病は次第に悪くなる病気です。産まれてすぐは、ほとんどの場合、全く正常な赤ちゃんです。診察しただけでは、病気は全くわかりません。成長するにつれて、だんだんと症状が現れてきます。病気の種類によって症状は異なりますが、神経系の症状が出てくるものが多く見られます。お座りができていたのにできなくなったとか、歩けていたのに歩けなくなったとか、しゃべれなくなったとか、痙攣といった症状が乳児期や幼児期、あるいは学童期に起こり、だんだん進行します。それ以外に、肝臓や心臓が大きく腫れてくるとか、骨や関節が次第に曲がってくるという症状が出てくるものもあります。
ライソゾーム病の確定診断のためには疾患特異的な代謝異常を生化学的に証明します。蓄積物あるいは中間代謝産物の増加を尿、細胞、組織中に確認し、末梢血リンパ球の空胞化、尿沈渣の異染性物質、骨髄中のGaucher細胞や泡沫細胞(Niemann-Pick細胞)、尿中オリゴ糖の分析などが診断の手がかりとなります。
末梢血白血球や培養線維芽細胞を用いて酵素活性を測定し、酵素欠損を証明します。酵素機能低下を確認するためには、培養細胞では天然基質の分解を測定する負荷試験が必要となります。出生前診断については、羊水細胞を用いた酵素分析により可能です。各酵素遺伝子のクローニングがなされ、ライソゾーム病の遺伝子診断が可能ですが、発端者の遺伝子診断にはその原因遺伝子全体を調べる必要があります。遺伝子変異が同定されれば、同じ家系の保因者診断や出生前などは容易です。
1を満たし、同疾患による症状を有すると認められるものをライソゾーム病とする。この際、2、3の所見の有無を確定診断のための参考とします。
ライソゾーム病の西洋医学治療はほとんどのライソゾーム病には、完全に治る治療法は、現在のところありません。いくつかの病気では、欠損している酵素を点滴して治療することができます。これを酵素補充療法と呼びます。点滴で体内に入れた酵素は、1〜2週間で体からなくなってしまいますので、1〜2週間ごとの定期的な点滴治療を一生続けなければいけません。これができる病気は6種類だけです。次第に進行する病気ですから、できるだけ早く治療しなければいけません。
ライソゾーム病は進行性です。治療法の無いものでは、神経や体の臓器が次第に悪くなって寝たきりになり、幼児期や小児期に死亡します。軽症型といわれるもののなかには、健康人とあまり変わらない寿命のものもあります。
ライソゾーム病の鍼灸治療症例 :ライソゾーム病患者29名、取穴:懸顱、後頂に頭皮針。他の取穴:大椎、肩髃(ケング)、曲池、手三里、合穀、魚際、太淵、足三里、伏兎、風市、環跳、陽陵泉、絶骨。電気針、20分間後、吸い玉20分間。
ライソゾーム病の鍼灸治療臨床経験 :当鍼灸院では、今も多くのライソゾーム病患者が通っていらっしゃいます。ライソゾーム病患者の一人一人の症状に合わせて、当鍼灸院は具体的な針灸治療方法で対応しています。
治療によって、全身の症状が改善します。治癒した例、改善した例を合わせると患者の60%は経過がよいと考えられます。
頭部外傷後遺症 多発性硬化症 過敏性腸症候群 パーキンソン病 脊髄小脳変性症 多系統萎縮症 脳梗塞 自律神経失調症 心身症 統合失調症(精神分裂病) 認知症(痴呆) バーンアウト症候群(燃えつき症候群)